20世紀までの社会では、酒場には大切な役割がありました。
知り合い同士の交流の「場」というのは勿論のこと、酒場には「知らない人同士をつなぐ」という役割もあったのです。
酒場には様々な立場や職業の人が集まっていました。
20世紀までの社会では、普段接する機会のない人同士が出会い語り合える場所は、酒場の他にはあまりなかったのです。
酒場には、そこでしか出会えない人がいて、そこでしか得られない情報がありました。
情報が交換される中で、そこから新しい仕事や新しい人間関係が発生していったのです。
もちろん知り合い同士が、お互いを理解し合う場所としても、酒場は大きな意味を持っていました。
近況を報告しあって大声で笑い合えるスペースは、酒場の他にはあまりなかったからです。
20世紀までの酒場は、既存の人間関係を強化し、新しい人間関係やネットワークを生み出すという大切な役割を持った特別な空間だったのです。
もしよければ、20世紀の名作と言われる映画の中で、酒場のシーンがどのように描かれているかを思い返してみてください。
多くの作品は、登場人物が酒場に行くことでストーリーが転換します。
酒場でイベントや事件が起き、喧嘩、出会い、お互いの理解、仕事の依頼、心情の吐露がおこなわれ、物語が動いていきます。
これが20世紀までの社会なのです。